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siyaku blog

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【連載】Talking of LAL「第9話 薬剤の影響(2)」

本記事は、和光純薬時報 Vol.60 No.4(1992年10月号)において、和光純薬工業 土谷 正和が執筆したものです。

第9話 薬剤の影響(2)

現在、日本薬局方で「エンドトキシン試験法」が適用されている薬剤は、「注射用水」のみです。しかし、他の薬剤についても「エンドトキシン試験法」を適用しようという動きは活発で、ヒューマンサイエンス振興財団の官民共同プロジェクト等で検討が行われております。将来的には、米国と同様、各種薬剤へこの試験法が適用されていくと予想されます。

その対象としては、現在ウサギによる発熱性物質試験を課せられている薬剤ということになるでしょう。そこで今回は、日本薬局方で発熱性物質試験を義務づけられている各種薬剤を中心に、薬剤の影響がなくなる濃度を調べてみました。

検討は、第 8 話で紹介したクエン酸ナトリウムの影響と同様の方法で行いました。測定には、リムルス試薬としてリムルス HS-J テストワコーを、測定装置としてトキシノメーターET-201 を用いました。今回は、エンドトキシン回収率が 100±25% であるとき、試料の影響がないと判断しました。

表 1 に各薬剤の測定への影響及び MVD を示します。

表 1 各種薬剤の測定への影響
薬剤 100±25% の回収率が得られた MVD1)
試料濃度 (希釈倍率)
アミドトリゾ酸メグルミン注射液(65%) 0.81% 以下 (80倍以上) 80倍●
アミドトリゾ酸ナトリウムメグルミン注射液(76%) 0.95% 以下 (80倍以上) 94倍●
イオタラム酸ナトリウム注射液(80%) 1.0% 以下 (80倍以上) 123倍●
イオタラム酸メグルミン注射液(60%) 1.5% 以下 (40倍以上) 160倍 
ヨーダミドメグルミン注射液(64.9%) 0.81% 以下 (80倍以上) 80倍●
ヨーダミドナトリウムメグルミン注射液(80%) 2.0% 以下 (40倍以上) 106倍●
注射用生理食塩水(0.9%) 0.9% 以下 (1倍以上) 32倍 
硫酸マグネシウム注射液(500mM) 100mM 以下 (5倍以上) 712倍 
炭酸水素ナトリウム注射液(7%) 0.5% 以下 (14倍以上) 266倍 
リンゲル液2) 原液 (1倍以上) 32倍 
輸血用クエン酸ナトリウム注射液(10%) 0.125% 以下 (80倍以上) 128倍 
スルホブロモフタレインナトリウム注射液(5%) 0.00125% 以下 (4000倍以上) 3205倍 
ヘパリンナトリウム注射液(1000U/ml) 0.01 U/ml 以下 (105倍以上) 160倍●
デヒドロコール酸注射液(20%) 0.25% 以下 (80倍以上) 512倍 
マンニトール(20%) 5.0% 以下 (4倍以上) 32倍 
デキストラン40(10%) 2.5% 以下 (4倍以上) 64倍 
デキストラン70(6%) 0.75% 以下 (8倍以上) 32倍 
果糖注射液(20%) 1.25% 以下 (16倍以上) 32倍 
ブドウ糖注射液(50%) 2.5% 以下 (20倍以上) 320倍 
キシリトール注射液(20%) 2.5% 以下 (8倍以上) 128倍●

1) FDA ガイドラインに基づいて計算しました。エンドトキシン限界値が記載されている薬剤はその値から、●のついた値については、エンドトキシン限界値の記載がなかったため日本薬局方の発熱性試験におけるウサギへの投与量から、計算しました。λとして、0.0156 EU/ml を用いました。

2) リンゲル液組成:0.86% NaCl、0.03% KCl、0.033% CaCl2


各種造影剤(アミドトリゾ酸塩、イオタラム酸塩、ヨーダミド酸塩)や無機塩類、糖類などは、エンドトキシン回収率が 100±25% となる濃度が MVD 以内であり、反応タイムコースや反応液の pH への影響も認められませんでした。

スルホブロモフタレインナトリウムは、pH が酸性のとき無色ですが、中性、アルカリ性になると濃紫色となり、反応時には紫色を呈していました。また、0.05% 以上の試料を LAL と混合すると白い沈殿が生じました。これらの影響が認められなくなる濃度は 0.005%(1000倍希釈)以下であり、さらにエンドトキシン回収率に影響が認められなくなるのは 0.00125%(4000倍希釈)以下でした。

今回の測定では検量線の最低濃度を 0.0156 EU/ml としているため、MVD が 3205 倍となりましたが、検量線の最低濃度を1段階下げ、0.0078 EU/ml(ゲル化時間として 60 分程度)まで測定することにより、MVD が 6410 倍となり、本薬剤の測定が可能となります。

ヘパリンナトリウムは高濃度で促進の影響が認められ、エンドトキシン回収率が 125% 以下となる濃度は 0.01 U/ml(105希釈)以下でした。しかし、10 倍希釈でも回収率が 150% 程度であることから、ゲル化転倒法による測定が可能と考えられました。ゲル化転倒法では、薬剤が存在した場合のゲル化エンドポイントが、薬剤の存在しない場合の±2 倍希釈以内であるとき、その薬剤が測定に影響しないと判断するため、ゲル化転倒法を用いた場合の MVD(ゲル化感度λ:0.03 EU/ml とすると 80 倍)以内の希釈で測定が可能と考えられます。

また、最近 FDA より発行された暫定ガイダンス1)では、比濁時間分析法を用いた測定における阻害または促進試験の許容範囲が、エンドトキシン回収率として 100±50% と変更されており、これに従えば、本試料も MVD 以内の希釈で比濁時間分析法による測定が可能と考えられます。

今回の結果でも明らかなとおり、測定条件を十分検討すれば、ほとんどの薬剤についてリムルス試験の応用が可能と考えられます。筆者は、今後ウサギによる発熱性物質試験がリムルス試験に替わる可能性が十分にあると思うのですが、いかがでしょうか。

参考文献

1) Interim guidance for human and veterinary drug products and biologicals, Food and Drug Adm. (1991)

第10話 薬剤の影響(3)

第8話 薬剤の影響(1)

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