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siyaku blog

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【連載】Talking of LAL「第7話 Maximum Valid Dilution」

本記事は、和光純薬時報 Vol.60 No.2(1992年4月号)において、和光純薬工業 土谷 正和が執筆したものです。

第7話 Maximum Valid Dilution

リムルステストを用いて薬剤等のエンドトキシン量を測定する場合、通常、試料の影響のない状態で測定を行います。試料が測定に与える影響を除去するために最もよく用いられる方法は「希釈」でしょう。希釈を限りなく行えば試料の影響はなくなっていきますが、試料から検出できる最小エンドトキシン量は希釈と共に大きくなっていきます。

ここである薬剤のエンドトキシン試験を行う場合を考えますと、薬剤が定められたエンドトキシン規定値以下であることを確かめるためには試料を限りなく希釈するわけにはいかず、希釈倍率の限界が生じます。この希釈倍率の限界を規定したものとして、米国薬局方1)や FDA ガイドライン2)に記載のあるMaximum Valid Dilution(MVD)があります。MVD は使用する測定方法のエンドトキシン検出限界濃度(λ)と試料中に混入の許されるエンドトキシン濃度によって決まる値です。

ここで試料中に混入の許されるエンドトキシン濃度とは、原液のエンドトキシン規定値を希釈倍率で割った値と考えることができます。試料中のエンドトキシン濃度はエンドトキシン測定値と希釈倍率を乗じて求められますから、規定値と同等のエンドトキシン濃度を検出するための希釈倍率はエンドトキシン規定値をλで割って求めることができます。このときの希釈倍率が MVD です。すなわち、MVD とは、試料が規定値の濃度のエンドトキシンで汚染されている場合にこれを検出できる最大希釈倍率と考えられます。

MVD を求めるためには、以下のことを知る必要があります。

(1)使用している方法のエンドトキシン検出限界(λ)
(2)測定しようとする試料中に混入の許されるエンドトキシン濃度

エンドトキシンの検出限界(λ)は測定方法によってその定義が若干異なります。すなわち、ゲル化転倒法の場合はラベル表示感度を、比濁時間分析法及び合成基質法の場合は作成した検量線の最小濃度をそれぞれλと考えます。

FDA ガイドライン2)にはEndotoxin Limit の定められた薬剤が記載されており、これらの薬剤における MVD は次の式で表されます。

MVD = (Endotoxin Limit) × (Potency of Oroduct)/λ

ここで Potency of Product とは試料原液の濃度と考えて良いでしょう。その単位は、体重当たりの投与量が重量の場合は mg または units/ml、容量の場合は 1.0ml/ml となります。

Endotoxin Limit の設定されていない薬剤における、試料中に混入の許されるエンドトキシン濃度(MVC)は次の式で表されます。

MVC = λM/K

ここで、M は発熱試験でウサギに対する投与量とヒトに対する 1 時間当たりの投与量(Dose/kg、平均体重を 70kg として計算)の大きい方、K は非経口投与薬品で 5.0 EU/kg と規定されています。この場合、MVD は下式で表されます。

MVD = Potency of Product / MVC

日本薬局方3)では、「試料溶液は、前述の反応の促進あるいは阻害がないことをあらかじめ確認しておく。」と試料の影響には言及していますが、その確認方法や MVD については記載がありません。現在のところ「エンドトキシン試験法」が適応されているのは注射用水のみですが、将来種々の薬剤に本試験法が適応されたときには、MVD についても言及されるものと思われます。

参考文献

1) The United States Pharmacopeia 22th, The National Formulary 17th. p.1493-1495, Pharmacopeial Convention Inc., MD (1989).
2) Guideline on validation of the Limulus amebocyte lysate test as an end-product endotoxin test for human and animal parenteral drugs, biological products, and medical devices. Food and Drug Adam. (1987).
3) 第十二改正日本薬局方、23-24 (1991).

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