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siyaku blog

ー 研究の最前線、テクニカルレポート、
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【テクニカルレポート】Wakopak® Ultra APDS TAG® を用いたアミノ酸含有飲料中のアミノ酸類の定量

本記事は、和光純薬時報 Vol.85 No.4(2017年10月号)において、和光純薬工業 試薬化成品研究所 須藤 勇紀が執筆したものです。

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はじめに

アミノ酸は 1806 年にアスパラガスの汁からアスパラギンが単離、発見されて以来、栄養素としての利用、呈味成分としての利用、生理作用の利用、反応性の利用の 4 つに大別される機能で私たちの生活の中で欠かせない存在となっています 1)。また、動物が体内で合成できないアミノ酸はその動物の必須アミノ酸であり、食品栄養素として重要です。

日本では 1991 年に特定保健用食品制度、2002 年に保健機能食品制度、2015 年に機能性表示食品制度が実施されており、国民のセルフメディケーションの実践が期待されています 2, 3)。また、機能性表示食品制度は届出制度であるために新規企業が参入しやすく、特定保健用食品が 2017 年 3 月で 1,127 品目に対し、機能性表示食品は 2017 年 3 月で既に 815 品目であり、急激に増加していることで、食品市場の拡大が期待されています 4)。アミノ酸の栄養素としての機能は既に広く認知されており、飲料、ドリンク剤、ゼリーなど幅広い形態でアミノ酸を含む食品が市場に存在していることから 1)、これからも多くのアミノ酸を含む新商品が生まれると考えられます。

3-アミノピリジル-N-ヒドロキシスクシンイミジルカルバメート(APDS)による誘導体化

HPLC におけるアミノ酸分析の誘導体化手法は古くから存在し、ニンヒドリンをはじめ o -フタルアルデヒドなど数多くの誘導体化試薬が存在します。今回、ご紹介する APDS によるアミノ酸の誘導体化法は、疎水性が高まり、また、イオン化効率が上がるため逆相 LC/MS(/MS)に有利な手法です 5, 6)

本法は味の素株式会社の「アミノインデックス ® がんリスクスクリーニング」(AICS)の中で利用されており 7)、食品分析においてもアミノ酸分析専用装置である UF-Amino Station を用いた分析例 8)があります。

Wakopak® Ultra APDS TAG® は汎用の LC/MS/MS 装置を用いた APDS- アミノ酸誘導体の分離分析が可能となる専用分析カラムです。今回、本カラムを用いて市販のアミノ酸含有飲料中のアミノ酸類を分析しましたのでご紹介します。

実験方法及び結果

試料前処理及び誘導体化のフローを図 1、LC/MS/MS 条件を表 1 に示します。定量は内部標準法にて行いました。今回対象にした飲料中にはアミノ酸類がグリシン(Gly)、アラニン(Ala)、バリン(Val)、ロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile)、アルギニン(Arg)の 6 成分を含むと記載されていましたが、表 1 中の No.13 〜 20 のアミノ酸類は市販飲料中には含まれておりません。

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分析した市販飲料中の 6 成分のMRM クロマトグラムを図 2 に示します。

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jiho_85-4_tech_05.png次に、このクロマトグラムが得られたサンプルにアミノ酸類の標準品を添加し、添加回収試験を行いました。標準添加後の市販飲料の MRM クロマトグラムを図 3 に示し、添加回収試験の結果を図 4 に示します。回収率は 99 〜 103 % であり、高い回収率を示しました。

jiho_85-4_tech_04.png

今回の検討結果から Wakopak® Ultra APDS TAG® を用いた APDS 誘導体化によるアミノ酸類の定量は有効であると考えられます。今回、ご紹介した結果は飲料のみですが、その他の食品や培養液などの試料の分析でも有用であると考えられますので是非アミノ酸類の定量にご活用下さい。

謝辞

本商品の検討にご協力頂きました味の素株式会社の皆様に深謝申し上げます。

参考文献

1)味の素株式会社 編:「アミノ酸ハンドブック」(工業調査会)(2003).
2)大澤 俊彦:化学と生物,44 (6),406 (2006).
3)和田 他:分析化学,65 (6),301 (2016).
4)湯田 直樹:健康・栄養食品研究,16 (1),1(2017).
5)特許第 4453363 号.
6)宮野 博:和光純薬時報,79 (1),2 (2011).
7)今泉 明:化学と生物,53 (3),192 (2015).
8)渡邊 他:島津評論,69 (1・2),47 (2012).

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