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siyaku blog

ー 研究の最前線、テクニカルレポート、
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【連載】なるほど !! ELISA -基礎とコツ- 「第3回 ELISA の操作法とそのポイント(中編)」

本記事は、和光純薬時報 Vol.85 No.4(2017年10月号)において、若林克己著「ELISA A to Z」をもとに株式会社シバヤギで編集し掲載いただいたものです。

ELISA_heart_600.jpg

ポイント⑤;試薬の希釈

【試薬希釈作業の準備について】

■キット構成試薬のうち、希釈が必要な試薬を確認しましょう。
■キット構成試薬の室温化が必要な場合は室温化をしましょう。
 特に冬季や春先は実験台の表面温度は暖房を入れても直ぐに上昇しません。実験台の上にキムタオルなどを敷いて、その上にキット構成品のすべてを並べ、室温化することをお薦めします。
■試薬原液を分取する前に良く攪拌しましょう。この時、泡立てないように注意しましょう。
■標識試薬など液量が少ない試薬は攪拌後、軽く遠心して、キャップ、壁面に付いたものを落としてから使用しましょう。
■試薬原液を緩衝液で 1,000 倍以上に希釈する時は、段階希釈することをお薦めします。
 ・10 倍希釈の一例:
  試薬原液 20μL+ 緩衝液 180μL
  試薬原液 10μL+ 緩衝液 90μL
 ・1,000 倍希釈の一例:
  10 倍希釈した溶液 100μL+ 緩衝液 9,900μL
  緩衝液は 10,000μL を分取したところから、100μL を抜き取っても構いません。
 ・希釈後は良く攪拌しましょう。この時、泡立てないように注意しましょう。
■試薬は用時調製するようにしましょう。

ポイント⑥;エッジ現象

エッジ現象(エッジ効果とも言う)とは?

ウェルプレートの外周部に位置するウェルは、他の内側のウェルと比べて外部からの温度の影響を受けやすいことから、その部分で反応が他の部分より進行し過ぎる、或いは抑制されることを言います。

jiho_85-4_shiba_01.png一般的には冷蔵庫に保管してあったウェルプレートや試薬、検体を室温より低い状態で使用すると外側が先に暖まって反応が速くなり、吸光度が高くなります。発色液の温度が低い場合は顕著に現れます。冬ではヒーターの温風またはストーブの輻射熱の影響を受け、夏ではクーラーの冷風の影響を受ける可能性があります。

その結果、Blank(ゼロ濃度)の吸光度が最低濃度の標準溶液のウェルより高く(暖められた場合)なったり、Blank を含めた二重測定の標準品ウェルのプレート端側が常に吸光度が高いなどという現象が見られることになります。

エッジ現象対策

■測定する 1 時間半から 2 時間前にウェルプレートや試薬、検体を冷蔵庫から出し反応温度に合わせましょう。
■測定開始前に試薬の温度を確認しましょう。
■空調機器/恒温槽/ PC /人など熱源となるものの影響を直接受けないところで測定を行いましょう。
■反応温度を一定に保ちましょう。
■洗浄液の温度管理には特に注意しましょう。洗浄液は容量が多いので温度を合わせるのに時間がかかります。洗浄液の温度が反応温度と異なると洗浄の都度プレートの温度が変化してしまいます。
■プレートシールやプレートカバーを使用しましょう。
■プレートに温度が均一に伝わるようにしましょう。
■インキュベータを使用する場合は緩衝液や洗浄液もインキュベータに入れておきましょう。
*ただし、試薬の安定性は事前に確認して下さい。

ポイント⑦;洗浄

ELISA 操作において洗浄はとても重要です。特に洗浄不足は非特異的反応によるブランクの吸光度が上がり、測定範囲の低濃度域での感度が得られなくなります。このようなことを防ぐためにも洗浄操作を確実に行いましょう。

洗浄のポイント(手洗浄の場合)

■濃縮洗浄液が付属の場合は、精製水の温度を室温に戻してから希釈しましょう。ご存じのように液体の温度は室温に比べ変化しにくいため操作開始時に洗浄液の温度が反応温度と違う場合があります。特に汲み置きした精製水を使用する場合は注意しましょう。操作前に温度確認することをお薦めします。
■インキュベータを使用する場合は、洗浄液もインキュベータに入れ温度を同じにしましょう。
■検体、標準溶液を分注後指定時間反応させた後の 1 回目の洗浄については、反応液を捨て、洗浄液を各ウェルに満たす時、洗浄液が溢れたり、飛び跳ねたりして、隣りのウェルに移ることのないように注意しましょう。
 この時の洗浄液量の目安は 250 〜 300μL/ ウェルです。2 回目からは溢れても構いません。
■洗浄液をウェルに満たす時、ある程度の水流の強さで行わないと洗浄不良を起こす可能性があります。
 特に 8 連、12 連ピペットで分注する場合、洗浄が弱いことがあるので注意しましょう。
■ペルオキシダーゼ結合物反応後の洗浄工程は重要です。ピペットでウェルに洗浄液を分注する場合には洗浄不良を起こしやすいので洗浄回数を増やすことで改善される場合があります(例えば、指定回数が 4 回の場合は 6 〜 8 回)。
■洗浄液をウェルに満たした後は手のひらの上で軽く水平方向に円を描くように 5 〜 10 秒程攪拌してから一気にプレートを逆さまにして洗浄液を振り捨てて下さい。軽く攪拌することにより洗浄効果が上がります。
■洗浄後、次の試薬を分注するまでにウェルを乾燥させないように注意しましょう。ウェルの乾燥はブランクが上がる原因になります。洗浄操作を始める前に、必ず次に分注する試薬を準備しましょう。

ELISAトラブルシューティング

A:最後の段階で発色が薄い、または発色しない
原因と対策

1)標準品や検体を入れ忘れた

2)発色に関連する試薬液を入れ忘れた
  ①ビオチン抗体
  ②ペルオキシダーゼ結合抗体
  ③アビジンHRP
  ④TMB

3)発色に関連する溶液の取り違えや希釈調製不良
  ビオチン抗体、アビジンHRPなど

4)酵素阻害剤の混入
  希釈に使用した容器にアジ化ナトリウム(NaN3)が付着していたためにアビジンHRP溶液に混入し、HRPが失活した。
  *アジ化ナトリウムは防腐剤としてさまざまな溶液(特に緩衝液)に加えられています。そのような溶液を取扱った器具は要注意です。抗凝固剤としてNaFを含む採血管が使用されている場合、或いは検体の保存にアジ化ナトリウムが使用されている場合、抗原抗体反応後、洗浄操作で洗い流されるはずですが、使用を避けるのが望ましいです。

jiho_85-4_shiba_02.png5)プレートの過剰な洗浄
  特に自動洗浄機の洗浄パワーの調節が強すぎると固相化されている抗体や反応物を剥がしてしまうことがあります。適当な強さに設定しましょう。また、洗浄モードはプレートモードでの洗浄をお薦めします。
   マニュアルでの洗浄の場合はピペットや洗浄瓶の先端がウェル表面に接触しないように洗浄液を分注しましょう。

6)TMB溶液を冷蔵庫から出してすぐに加えていませんか?
  充分室温に戻してから加えないと発色が弱くなります(室温反応の場合)。

B:目で見て発色しているのに測定してみると吸光度が出ない
原因と対策

プレートリーダーの測定波長のずれが考えられます。リーダーの波長の調整を行いましょう。フィルター式のリーダーではフィルターの波長が正しいかどうか確認しましょう。

C:標準曲線が上手く描けない
原因と対策

●標準曲線が右上がりにならない
 全て低い吸光度
 検体は発色している
 ⇒・標準品の入れ忘れ  ・標準品原液の入れ忘れ
  ・標準品原液の取り違え

●検体も発色していない
 ⇒・発色試薬の希釈ミス  ・発色試薬の取り違え
  ・第2抗体の取り違え   ・第2抗体の入れ忘れ
  ・第2抗体の変性、希釈ミス

●すべて高い吸光度
 ⇒・発色試薬の変性(酸化)

●標準曲線が右下がりになった
 ⇒・標準曲線の添加順序が逆転した

●標準曲線が凸凹になった
 ⇒・標準品の希釈途中でミスがあった

●標準曲線が右寄りで感度が出ない
 ⇒・標準品の失活  ・反応時間を間違えた

●ブランク(ゼロ濃度)を含めた2重測定の標準品用のウェルのプレート端側の吸光度が内側のものよりも常に高くなる
 ⇒・エッジ現象が起きている可能性があります。

●一般的注意事項
 標準溶液の原液を分注する際まずVortexで攪拌して下さい。この際、泡立てないように注意して下さい。
 標準溶液の希釈系列を作製する際、高濃度の標準溶液を採取して緩衝液の入った試験管に加えた後、よく攪拌してから次の操作に移って下さい。

次回は、「第4回 ELISA の操作法とそのポイント(後編)」(最終回)の予定です。

本記事は、若林克己著「ELISA A to Z」(株式会社シバヤギ発行)をもとに、株式会社シバヤギで編集したものです。

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